席の譲り方  (2004.7.21)

 電車などではなるべく、席を譲るべき人には譲るようにはしている。譲った方が良いのか、判断の難しい人もいるにはいるけど…。

 さてある時、新聞の投書欄を見ていて、眼からウロコの事があった。電車で、立っているのがつらそうなお年寄りが乗ってきたが、わざわざ席を譲らなくても十分空いていた。にもかかわらず、そのお年寄りは座らなかった。入り口横に座っていた投稿者は、すぐに事情に気づいて席を譲ったところ、感謝して座ったという。
 つまり、座れる席であればどこでも良いと言うことではないのだ。投稿者は、入り口横の席だったので、入り口に近く、はじっこの席なので手すりが付いている。立っているのがつらい人は、席から立つ時も難儀なわけで、そのために手すりのある席の方が良いのだった。それに、入り口に近いからゆっくりあわてずに降りることも出来る。

 何が眼からウロコかというと、そのことなのだった。言われてみれば至極当然だけど、何となくそういう人に席を譲れば良いのだ、という短絡的な目でしか見ていなかったため、どういう場所の席だとどう違うのか?という事にまで考えが及んでいなかった。せいぜい自分が座る時に、はじっこの方が安心感があるとか安定が良いとか、クーラーの風が当たりにくい場所である、とか考える程度だったのだ。

 ん~~~、席ひとつを譲るのでも奥が深いもんだ…。言われれば当たり前のことでも、気づく機会がないと、永遠に知らないままで終わってしまうことは山ほどある。

こちらが恥ずかしい…  (2004.7.25)

 人前で何かを披露するなんて機会はまずないけど、あればあったで恥ずかしい思いをするのは分かり切ったこと。しかし、それ以上に恥ずかしいかも知れないという状況にはたまに出会う。
 他人が、特にプロの立場にある者が、その披露している芸なり技がいまいちで、こっちがハラハラしてしまい、聞いている、あるいは観ているこちらが恥ずかしい、という状況である。お笑い関係だとそれは最悪で、ネタがつまらなかったり出し方がまずいために笑いがとれず、それに対してこちらが恥ずかしくなってしまう。それがテレビなら何てこたないが、同じ場所で生で見ていたら、なんだか自分も恥をかいてるような感じだったり、つまらなくて腹を立ててる他のお客の心中を察してハラハラしたり。受動的な立場にある方が恥ずかしく感じるなんていうのは、自分が恥をかいている以上にやりきれないモノがあったりする。

 あれはなんなんだろう?と思う。自分は観る側なのだから、一向に恥じる必要もないし、演技者に代わって責任を感じる必要もない。でも、なんだか妙な責任を感じてしまう。こういう事は少なからず誰でもあるのでは?
 演奏を聴きに行って、調子が悪いのかヘタなのか、妙にミスが多かったりお金を取るような内容でない時も、もちろん観客である立場の自分も演奏者に対して腹立たしいのだが、同時にそんなモノを披露している事を恥ずかしく感じてしまったり。

 全然違う状況だけど(前にも書いたかも)、お店に入って店側が何か不都合な事をしでかしてしまった時も、店と同じ側の心理状態のような感じでハラハラして、他の客に妙な責任を感じてしまったりすることもある。
 会社でも仲間内でも、幹事的な事をやることが多かったために、そういう主催者的な心理になってしまうのかなぁ?

ライター、カチッ  (2004.7.27)

 夜も更けて、薄暗い部屋から聞こえるライターの「カチッ」っという音は、何となく郷愁をそそるものがないだろうか?たばこは嫌いなのだけど、そのカチッいう音の響く静けさというか、ちっぽけな生活の息づかいというか。

 自分は全くたばこは吸わないので、自分の部屋でライターの「カチッ」という音がするのは、蚊取り線香に火を点ける時だけなのだ^^。 一度だけ電子蚊取りを使ったことはあるけど、無性に喉にヒリヒリと来て使い続けられなかった。だいぶ前のことなので、今のはその辺は大丈夫かも知れないし、液体蚊取りもあるけど、未だに古来からの蚊取り線香を使っている。

 ライターの話だけど、普段そんな上記のような状態の音を聞く機会などはない。だから、ほとんどはドラマや映画などでのすり込みだと思われる。
 カチッというのは、最近の使い捨てライターの音であって、以前だったら同じ使い捨てでも「ジョリッ」だし、ジッポだったら「チャッ…シュボッ…チン!」ですね。マッチで擦る音を聞く機会はほとんどなくなった。
 それぞれのライターの音で、感じる雰囲気もまた少しずつ違ってくるし、それぞれの人によっての思い入れも違うでしょう。今時の使い捨て電子ライターの「カチッ」という音などは、味気ないのだろうけど、ん~~、なんか嫌いではないのだった。

担当は誰なんだ?  (2004.7.29)

 日本橋にある、とあるA画廊と契約していた。正確にはあと1ヶ月の契約期間が残っている。都合1年半の契約をしてきたが、契約期間満了1ヶ月前に申し出がない場合は、自動更新になるので、9月の満了を前に電話をした。最初が1年間の契約で、後は半年ごとの自動更新。1年でやめようと思っていたのに、1ヶ月前に申し出ないといけないのを忘れていて、1ヶ月前にタッチの差1週間を過ぎてしまって、半年追加になってしまった。
 作品の販売はもちろん、その画廊独自(世界唯一と言っていた)の複製画技術で、インターネットでも展開をするという。近々地上波でのなんだかのコンテンツにも画廊として唯一加わるのどうのとか。契約はこちらが毎月幾ばくかの手数料を払う。売れたり使用権が発生した時はそれなりの分配となる。

 ま、いずれにしろ、自分にはあまり続ける意義を感じないので、契約解除の電話をした。前にもそうだったが、なんだか連絡の悪い会社なのだ。
 午後遅く電話すると、女性が出て、契約について話したいというと、「担当者が来客中なので折り返し電話致しますがよろしいでしょうか?」という。いつ頃電話をくれそうなのか聞くと、それについてすぐに折り返し電話をするという。
 待っていても電話は来ない。40分ほどは過ぎた頃だったか、電話をすると先ほどの女性が出る。「え?本人から連絡が行ってないですか?では、すぐに連絡して電話をさせます。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 んで、やっぱり数十分待っても音沙汰無い。また電話すると、その女性が焦った様子で、「それでは私が直接下へ行きまして、すぐに折り返し電話を差し上げます。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 やっぱり連絡はない。また電話すると、やっぱりその女性。一対どうなってるんだ?!! すごく失礼だろ?!! あんたが下へ行って直接すぐに電話すると言ったんだろ?!! わざと連絡がつかないようにしているのか?!!「い、いえ;;;、決してそのような・・・」彼女は、またすぐに連絡させるようにするから、と言うが、それでは同じ事なので、このまま繋げ!と言うと、しばらく保留になった。
 また彼女が出て「担当者に聞きましたところ、何度かお電話差し上げたようですが、つながらなかったと言うことです。もしかすると、番号非通知でかけると拒否する設定になっていますか?」と言う。そんなことはないし、かかってきた形跡もないと言うと、再度連絡させるという。それでは埒があかないので、直接こちらから担当者の部署に電話するので番号を教えさせた。担当者は誰なのか聞くと、「○本です。」と言った。

 さ~~て、そこへ電話すると、かったるそ~な若い女の応対声。○本氏を出してくれと言うと、来客中なので折り返し電話するという。ちょっとキレかかって、先ほどまでのいきさつを話して、そちらからはつながらないと言うから、このまま待っている。と言った。その「かったる」女は、やや焦った感じで、担当者を呼びに言った。
 ここからは奇妙な事で、電話に出たのは「はい、○山です」と社長が出た。契約時には社長と接していたので知ってはいた。契約担当は○本じゃないのか?と、先ほどまでのいきさつを話しかけると、○山氏は、「あの、伊藤先生とはお久しぶりにお話し致しますが、私、いままで来客中でして、急にそのような云々・・・・」とよくわからないことを言う。先生呼ばわりされるのも気色悪くて腹が立つ。「契約担当は○本さんじゃないんですか?そう言われてそちらに電話してるんですが???」「いえ、契約はすべて私がやっておりまして、云々・・・・」????最初の女性との電話でのいきさつや、さんざん連絡を待っても来なかったこと、直接担当へ電話していることを話しても、一向に意に介さないというか・・・・・。○山氏は、ずっと来客中で電話などしていないと言うし、んじゃ、今までのはなんだったんだ?電話をしたというやつは誰なんだ?○本はだれなんだ???

 社長の○山氏は、自社のたらい回しやものすごく失礼だった応対のことは、全く意に介さずで、まるでこちらが被害妄想でわめいてるかのような、反応であった。自分はずっと来客中で、今電話に出たのに、そんないろいろわけのわからないことを言われても困るんですが、という感じである。最大にわからんのはお前じゃ!
 そのあたりの、会社内でのわけのわからない連絡の行き違いを話したのに、「契約はすべて私がやっておりますので」を繰り返すだけで、自社がどういう不始末をしでかしたのか?何がおかしいのか?に200%無頓着なのでは、やっぱりこの人も経営者としては駄目だろうな。
 契約打ち切りの話しをすると「はい、わかりました。」とあっさり言う。あっけにとられて、契約終了の何らかの書類とか何かいらないのか?電話だけで良いのか?と聞くと、「はい、削除しておきますので大丈夫です。」お前しばいたろか!画廊の実名公開したるぞ!電話だけだと、本当に本人が電話してるのかどうかわからんだろが。
 も一回、最初の女性のところに電話して、○本はだれなんだ?社長はこう言っていたぞ、いったい何なんだ??と言いたかったけど、バカを見るだけなのは明らかなのでやめた。

 最初に電話してからここまで、約2時間強の出来事であった。自分には契約中、なんの成果もなかったが、単に自分の作品が引っかかりもしない程度なのか、言うことの大きさの割に、実態のよくわからない画廊なのかどうかはわからない。なにしろ、大々的にインターネットでもやっているのに、一度もネットで確認したことのない自分も自分なのだった^^:;。

後日談(「新人のせい?」)

いきなり大評判!  (2004.7.31)

 以前は世間並みに週間漫画誌を読んでいた。小学校の時からずっと少年マガジンで、三十路ちょっと過ぎまで毎週読んでいた。
 ほとんどは連載モノだから、旅行へ行く時は、友人に買っておいてもらったりも。それも沖縄へ2週間以上の旅をした時に購読が飛び、それで面倒でもういいや、と読むのをやめた。それ以来、漫画というモノはほとんど読んでないな。

 週間漫画誌は長期連載のモノが多く、時々新連載が始まる。その時はいつもオイオイ;;;、と思う事が繰り返された。
 たいてい新連載が始まる時は、巻頭カラーで通常の2倍のページ数だったりする。そこまでは良いのだが、翌週のその漫画のトビラには「連載いきなり大評判!!」なんて文字が躍っている。
 例えば水曜日発売だとして、当日読んだ読者が読者カードなんかを送って、その漫画を褒め称えたとしても、編集部がそれを把握できるのは金曜ぐらいでしょう。その辺りの出版事情というのは全く知らないけど、次の水曜発売のためには、製本は少なくとも前日以前には終わってなければならない。公には水曜発売でも、火曜日に店頭に並んでいる地域もあったりする。
 つまりおわかりのように、連載開始の次週の号に大好評である!というのを載せられるか?と思うのだが。まぁ、これなどは連日徹夜の超ハードな編集で間に合うとしよう。 もっと呆れるのは、新連載された同じ号に載っている次号予告ページに、その新連載漫画のことが「早くも大評判!」なんて書いてあったりする。^^;おのれらは予知能力者か?でも、このくらい見え透いたハッタリならまだ気持ちいい。

トイレはありません!  (2004.8.2)

 いつの間にか無くなってしまったが、渋谷に地下1階地上4階の100円ショップがあった。一応エレベーターは付いていたが、2、3階には止まらなかった。エレベーターに乗って扉側を向くと、そこには「当店にはトイレはありません」という、手書きの貼り紙があった。当然「ほう!、これだけのビルに一個もトイレがないんかぃ!?」と突っ込みを入れたくなる。

 数週間後、再びそのエレベーターに乗ると「当店ではトイレの貸し出しはしておりません」になっていた。やっぱり大勢に突っ込まれたのね^^;;。しかし、トイレの「貸し出し」って、工事現場の簡易トイレかよ。

 そういえば、行きつけの喫茶店のマスターによると、店の扉を開けて「トイレありますか?」と聞いてくる人が時々いるという。ないわけないから「トイレはありますが?(それが何か?)」と答えるとか。^^;

本当の豊かさとは?  (2004.8.4)

 (「大江戸えころじー事情」 石川英輔著 より) 

20年近く前(執筆時2000年)、今でも印象に残っている新聞記事を読んだ。それは、アジアの開発途上国に対する援助計画を担当した日本の真面目な青年官僚の悩みについての話だった。
 報道記事ではなかったため、具体的な国名も場所も伏せてあったが、意欲的な若い担当者は張り切ってその貧しい途上国へ調査に赴いた。現地へ行ってみると、これから開発する予定の地域は熱帯の海岸部で、人々はニッパハウスでのどかに暮らしていた。魚はその日食べるだけを釣ってくるし、野菜は家の横の畑でいつでもとれる。
 現金で買うのは米とわずかな調味料ぐらいで、町の小さな修理工場を1日に何時間か手伝えば、その程度の収入は得られる。Tシャツとショートパンツで暮らせる気候で、正装する必要もない生活のため、衣服の経費もほとんどかからない。
 若い担当者が経験した現地の生活は、開発途上国というより、日本の若者があこがれるのんびりしたリゾート地の暮らしそのものだった。
 しかも、現地の人々が今の生活に不満を感じているわけでもなかったから、ここに経済援助をして、今の生活を変えさせる必要があるのかと、真面目な青年官僚が真剣に悩んでいるという話だった。
 その開発計画がどうなったかの後日談は、記事にならなかったので知らないが、日本国政府が、援助のための予算を消化しないはずはないから、貧しい暮らしは大きく変化し、生活水準を示すさまざまな数値は大幅に上昇して、いわゆる豊かな状態になったはずである。(中略)
 援助した側は、(エネルギーや物資消費の)量が増えた分だけ生活が良くなったと考えるだろうが、エネルギー消費が増えるとともに生活習慣病も増え、現地の人はその分だけ余計に働かなくてはならなくなったに違いない。生活の質まで考えに入れるなら、この援助は有難迷惑というより、ただの迷惑の可能性が高い。

北海道の交通取り締まり  (2004.8.6)

 もう何年も北海道には行っていないが、最初に行ったのは17年ほど前。初秋の北海道だった。釧路からレンタカーを借りて、知床までを往復したのだが、車で走っていてあれほどの気持ちよさを味わえる土地も無いですね。そもそも、日本から大陸へ渡った感じだった。
 走っていると、いろいろと面白いモノに出くわした。その中で出色は交通取り締まり関係。いい気になって飛ばしていると、突然赤いサイレン灯がまわった。うわ!っ、なんだなんだ!?と思っていると、道脇に設置されたサイレン灯がいきなり点くのだ。おそらく規定以上でスピードを出している車なんかに注意を促しているのか、単に車全部にセンサーが働いているのか。

 まぁ、そんなのはかわいい方だった。おいおい、そこまでやるか?というのもあった。
 なだらかな丘を登って行き、登り切って向こう側が見えると、道脇の畑にパトカーが突っ込んでいる。うわ!っ、なんだなんだ!?と思っていると、それも注意を促すモノだった。どう見ても、運転を誤って畑に車の前を突っ込んだ状態だぞ。

 発想もすごいが、結構ああいうのは好きだったりする。ただ、驚いて運転を誤る人も結構いたんじゃないのか?今でも、こういう類のモノは残ってるのか?^^;

 その時、松山千春の故郷・足寄にも行った。良く、国道なんかで市や町に入る部分に、「ようこそ○○」なんてのや、交通安全をうたう標語があったりするが、足寄は「ゆっくり走ろう 千春のふるさと」だった。^^;

お代…  (2004.8.8)

 今は亡き某有名中国人調理人とうちの父親が友人であったため、時々その人の経営する中華料理店へ食べに行っていた。
 食べに行くといつも氏は、調理服のまま我々のテーブルに来て座り、長々と話しをしていった。記憶では、氏はいつも料金を受け取らない事が多かったと思う。

 そんなある日、記憶では氏の生前に最後に食べにいった時だったと思う。いつものようにテーブルに来て話し、帰りにも代金などいらないと言い張った。でも、いつもそんなわけにもいかず、こちらも強引に払っていった。氏が調理場に戻ったスキに急いで払っていったのだと思う。それで急いで出口へのエレベーターへと向かった。
 エレベーターに乗り込むと、会計をした店員が急いでこちらへやって来ながら何かを言っている。
 やっぱり氏がお金を返してこい、と言って店員に持たせたのだと父親は思った。なので、「いいです!いいです!」と、父親は手を振った。
 すると店員が言った。
「い、いえ;;;、お代が不足してるんです。;;;」

ドケチ社長のボーナス   (2004.8.10)

 仕事で大阪にいた時に聞いたはなし。

 ある小企業の社長は自他共に認める「ドケチ」。社員の使う備品にまで、無駄の無いように細かくケチっていた。とにかくあらゆる事に無駄を嫌い、小うるさくて社員からも嫌がられたりもしていた。当然、給料も渋く渋く押さえられていた。

 ある年、業績がとてもアップして、近年まれに見る利益を上げた。その年のボーナス期、社員はわずかな期待をしつつも、ドケチな社長が気前よくくれるわけもないと誰もが思っていた。
 ところが明細をもらった社員のみんなが目を疑った。何か計算ミスでもしているんじゃないか?というくらいの、大盤振る舞いのボーナスが全員に支給されていたのだ。 直後の集会で社長は、いつもの渋いドケチ顔ではなく、穏やかな笑顔で語った。

 「今年度、これだけの利益を上げたのは、あんたたちのおかげなんや。ワシは、あれやこれやと小うるさく文句言うことしかできん。みなさんが、毎日一生懸命会社のために汗水流して働いてくれたおかげなんや。だから、その利益を皆さんにお返しするのは当然のことです。これは、皆さんが稼いだお金なんです。」

 みんなは社長がただのドケチではなかったことに改めて気づいた。この会社が優良企業に育っていったのは言うまでもない。

雑記帳34< エッセイメニュー >雑記帳36